栄養のプロに聞く!子どもの成長に必要な食品と栄養
執筆:さっちゃん(まーじんママライター)
子どもと食にまつわる悩みは尽きることがありません。
「離乳食を食べてくれない…」
「食べられるようになった!と思ったら好き嫌いができてしまった」
「偏食が気になる」
「量や栄養が足りているのか心配」
毎日、しかも3食。食事のことで頭がいっぱいになってしまう方も多いのではないでしょうか? はじめての子どもが離乳食期まっただなかの私も、実はその一人です。
そこで今回は子どもの成長に大切な「栄養」について、奄美市役所健康増進課所属の管理栄養士の泉裕子さんにお話を伺いました。
栄養士さんに聞きました! 食事をすることの大切さ
私たちは毎日、当たり前のように食事をしていますよね。
作って、食べて、ということに一生懸命になりがちですが、子どものことを考えると、食事はイコール身体をつくる、ということに直結する気がします。
「食事をすることで、食べ物から栄養を摂り、身体をつくったり調子を整えたりすることができます」と栄養士の泉裕子さん。
私「そう言われると重要に感じます「栄養」というと、例えばどんな栄養素があるんですか?」
泉さん「簡単に分けると
・糖質(炭水化物)…脳の唯一のエネルギー源
・たんぱく質…筋肉、血、骨、内臓をつくる
・ビタミン、ミネラル、食物繊維…体の調子を整える・肌・便通を整える、病気から守る
などがあります」
私「なるほど。この中で特に摂って欲しい栄養はありますか?」
泉さん「すべて必要な栄養素なのですが、ビタミン・ミネラル・食物繊維は主に野菜に多く含まれるので、意識して摂るようにしてほしいですね」
…ミネラル…?
ビタミンや食物繊維はイメージがつきますが、「ミネラル」ってなんだろう??
少しわかりにくいけど、大切な「ミネラル」について、今回は少し詳しくお伝えしたいと思います!
体をつくる!守る!正義の味方!ミネラル!
今回注目したミネラルは4種類(実はほかにもあります!)
・カルシウム
・亜鉛
・マグネシウム
・鉄分
ミネラルの主な役割は
・骨格作りに必要
・筋肉、神経の動きをスムーズにする
意識して摂って欲しい理由は、
「どのミネラルが不足しても骨や肉体の成長が妨げられるということ」
「人の体内では作り出すことができない栄養素なので不足しやすい」
とのことでした。
では少し詳しく…
〈カルシウム〉
【含まれる食品:乳製品、小魚、海藻、大豆および大豆製品、緑黄色野菜】
・骨や歯を丈夫にする
・一度にたくさん摂取しても、吸収できる量が限られているので毎日コツコツ摂る
〈亜鉛〉
【含まれるもの:魚介類、肉類、藻類、野菜類、豆類、種実類。特に牡蠣、うなぎ、豚レバー】
・ミネラルの中で一番不足しやすい
・タンパク質の合成に関わる酵素の材料
・新陳代謝やエネルギー代謝など体内のさまざまな働きをサポートして正常に保つ役目
・風邪や感染症にかかりにくくなる
・味覚を正常に保つ(舌にある味蕾(みらい)は短期間で細胞を次々生まれ変わらせているため材料となる亜鉛を常に必要としている)
〈マグネシウム〉
【含まれるもの:アーモンドなど種実類、魚介類、藻類、野菜類、豆類】
・骨、歯の形成に必要な栄養素
・カルシウムを骨に定着させる作用があるためカルシウムと同時に摂取すると良い
〈鉄分〉
【含まれるもの:肉、魚、レバーなど動物性食品(ヘム鉄)、野菜、海藻、大豆など植物食品(非ヘム鉄)】
・血(赤血球)を作るために必要
・成長期は体や内臓が一気に成長するとともに血液量も急激に増加する
・鉄分が不足すると「鉄欠乏症の貧血」を発症することもある→貧血になると血液が酸素を十分に運べないので頭痛や、すぐ疲れるという症状がでる
・ヘム鉄の方が吸収がよい
・非ヘム鉄はビタミンCや動物性タンパク質と一緒に摂ると吸収率がアップする(鉄を含む野菜・海藻・大豆には果物・肉・魚を組み合わせる)
ミネラルって、こんなにも重要な役割があったんですね。
そして次に気になることは
食事をどう摂っていくか?ということ。
もちろん管理栄養士さんに聞いてきました!が、残念なことに…
「これだけ食べていれば大丈夫、というのはないんです」
えー!ないのーー!とショックを受けられる方もいらっしゃるかもしれませんが、
大切なのは「さまざまな食品をバランスよく食べることが重要」なんだそうです。
バランスの良い食事を作る…腕の見せどころですね。
先輩ママに聞いた!!おいしく食事を摂るためのアイデア工夫
せっかく家族の健康を考えてお料理しても、食べてくれなかったら意味ないですし作るのもイヤになっちゃいますよね。
そうならないために、先輩子育てママに「お子さまが楽しくご飯を食べるためにしていること」を聞いてきました!
〈工夫①食事前にすること〉
・好きな味にして食べやすくする
・できる限り大人と同じ材料で薄味ご飯
・親が途中で立ち歩かないように準備ははじめにすべて済ませる
・本人が気に入るお皿に盛り付ける
〈工夫②食事中にすること〉
・家族みんなで食べる
・デザートを必ずあげる
・テレビは消すが好きな楽しい音楽をかける
・なるべく自分で食べてもらう
・おしゃべりができるようになったら、メニューの一部や次食べるものを本人に選ばせる
・好きな動物やキャラクターの食器を使い、食べたがらないときは動物に食べさせる真似をしてから本人の口に運ぶと食べることがある
・擬音語(ぴょんぴょん・ぴゅーんとか)を言いながらご飯を口に運ぶ
・とにかくポジティブ
〈工夫③食事以外ですること〉
・早寝早起き
・身体を動かす遊び
→公園/子育てサークル/雨で外に出られないときは部屋でひたすら風船あそび/夏なら風呂場で水遊び など
・おやつは最小限にする
・食事の絵本を読み、食事は楽しい!イメージを持ってもらう
“空腹に勝る調味料なし”という言葉があるのを聞いたことがあるでしょうか。
大人でもお腹が空いていなければご飯を食べる気にはなりませんよね。美味しく食べるためにお腹を空かせる作戦もいいですね!
食事中のアイデアは楽しんで食べてもらうのが多かったです。
「なるべく自分で食べてもらう」を実行されている方は、7ヶ月頃から基本的に自分で食べてもらってOK。グチャグチャにしたりお皿を投げたりするけど、上手に食べられたときは褒めてあげると、また食べるのがうれしく、たのしいことなんだということが伝わるかもしれません。
「食事は楽しい時間」というふうに子どもが思ってくれるのが一番だと思います。
まとめ
どれだけ栄養のことを考えてご飯を作ったり、食事が楽しくなるように気を付けたりしても「お子さまの好き嫌いには勝てない…」と言う方もいらっしゃるかと思います。
子どもの味覚はとても敏感なんだそうです。ピーマン嫌い!ほうれん草嫌い!…せっかく作ったのに…と落ち込みますよね。
見えないように工夫したり、食べやすい味付けにしてみたりしても食べてくれず、「これ以上どうしたらいいの?!」となるかもしれません。
「そんなときは、割り切って他の野菜を食べさせても良いんですよ」
と栄養士さんに教えていただきました。
いろんな食材にいろんな栄養が含まれているので、ひとつの食材にこだわらずたくさんの種類の食べ物を食べることの方が大事なんだそうです。
バランス良くいろいろなものを食べる…「好き嫌いしたらダメよ」と言われるのにはちゃんと理由があったんですね。
また、野菜が苦手な子でも、家庭菜園で自分で育てた野菜なら食べることができたり、一緒に買い物に行って野菜を選ぶと食べるようになることもあるそうです。
もうひとつ大切にして欲しいことは、お手伝いなどを通して食に関わる体験をたくさんさせてあげることです。レタスをちぎる、玉ねぎの皮をむく、お皿を並べる・・・など、子どもと楽しみながらできることはたくさんありますね♪
生きていくために必要な食事。
その大切な時間が今よりも楽しい時間になりますように。
【問い合わせ先】名瀬総合支所 健康増進課
【所在地】〒894-8555 奄美市名瀬幸町25-8
【電話番号】0997-52-1119
(2024年3月更新)