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LINEで届く学校給食献立。食と栄養のプロ、栄養教諭ならではの考え抜かれた献立作り

うがみんしょうらん。ライターのムラタマチヨです。

みなさんは、奄美市公式LINEで学校給食の献立が配信されていることをご存知ですか?
給食がある日は毎日、子どもたちが食べた献立の写真と、栄養教諭の先生からのコメントが送られてきます。

2022年6月から始まったこの配信は奄美市独自の取り組みの一つで、保護者と子どもたちの会話のきっかけになればと始まったものです。

私もこの配信を楽しみにしているひとり。
帰宅した子どもたちと
「今日の給食美味しそうだったね!」
「あのデザートどんな味だった?」
など、話の種にさせていただいています。

配信された献立を見ていると、私が子どもの頃にはなかったメニューがたくさん!
これらの献立はどのように作られているのでしょうか。保護者はなかなか知る機会のない献立作りについて、給食センターへお話を聞きに行ってきました!

奄美市公式LINEの給食献立配信

給食献立配信の対象になっているのは、奄美市名瀬地区、住用地区と笠利地区の小中学校、朝日小学校付属幼稚園型認定子ども園です。

奄美市公式LINEを友だち登録してから、受信設定をすると配信されるようになります。(奄美市公式LINEの登録についてはこちら

保護者だけでなく、設定すれば誰でも配信を受け取ることができます。

毎日コメントを読んでいると、先生方の給食献立に込めた想いや、調理員の皆さんの苦労が垣間見れ、保護者の一人として感謝の気持ちでいっぱいになります。

保護者にとっては文字でしか知ることのなかった給食が、想いの詰まったあたたかいものに感じるようになりました。

また献立を見ていると、季節に合わせた献立や、島料理の日など、多様なメニューがあることが分かります。

『給食=栄養バランスがとれている』というイメージはありますが、バラエティ豊かな献立がどのように考えられているのか、保護者の私達はなかなか知る機会がありません。

知られざる給食の献立作りについて、奄美市立学校給食センターへお話を伺いに行ってきました!

想いと栄養のつまった給食献立づくり


栄養教諭の小原(おばる)先生(左)、松野下(まつのした)先生(真ん中)、中間(なかま)先生。(右)

「給食は生きた教材とも言われているんです。」
そう教えてくださったのは、栄養教諭の小原(おばる)先生。 

お話を聞いていくと、給食の献立は教材と呼ぶにふさわしく、私が想像していた以上に複雑な要素が絡み合いながら考え抜かれていることがわかりました。

◯給食献立を作るポイント

①十分な栄養量がとれていること、多様な食材を使うこと。

現在は栄養教諭の3名の先生が、月交代で献立を作成しているとのこと。

先生方がたたき台を作成したあとは、調理員のみなさんを含めた全員で会議をし、話し合って決定していくそうです。

学校給食には文部科学省が示す『学校給食摂取基準』という栄養量の目標値があり、献立作りはその目標値に近づけるように作成していきます。

パソコンで栄養量が計算できるツールを使用して作成していきます。一日の栄養量目標もありますが、週単位、月単位でも栄養のバランスを考えていくそうです。

単純に栄養量だけではなく、多様な食材を使用することも求められています。

毎月配られる献立表を見てみると、1群から6群までの食品群別が書かれていることが分かります。

この全ての群に食材が入るように献立を作る必要があります。

献立の一例(2023年12月)

鉄分とカルシウムについては家庭での摂取量が不足しがちなため、学校給食で多く摂取できるように献立や食材を工夫しています。

中間(なかま)先生「献立を作りながら鉄分が足りないと分かったら、普通の鶏の唐揚げを鶏レバーの唐揚げに変更するなど、食材を変えたり、追加することで対応しています。」

子どもたちの成長を考えた、計算され尽くした献立ということが、ここまででも十分に感じます。

しかし、考えるべきは栄養のことだけではありません。

 

②安全安心に、時間通りに提供できるかどうか。

学校給食は安全安心に提供するために、学校給食衛生管理基準という、衛生面での厳しい基準が定められています。

毎日の献立に合わせ作業動線図を作成し、作業工程が一方通行で行われるよう計画されています。またその日、生肉を触った調理員は、その後、手を洗ったとしても他の食材を触らないなど様々な決まり事があるそうです。

(詳しくは、奄美市HP内 学校給食センターへようこそ!に説明があります)

これらの決まりを守りながら、時間通りに給食を提供できるかどうかも献立作りの大切なポイントです。

大量の食材を使って作っていくため、時間通りに作ることができるのかはやってみないとわからない面もあり、新しいメニューを献立に取り入れる際は慎重に計画を立てます。

松野下(まつのした)先生「献立を会議に出して、調理員の皆さんと話し合います。この食材は処理に時間がかかるから難しいなど、調理員さんたちの意見も大切な要素です。活発な意見交換の中で最終的な献立が決まります。」

 

③食材を十分確保できるか。

給食には地場産品を使うことも求められています。

奄美市ではハンダマやしぶり、フダンソウなどの島野菜や、魚のシビを使った献立が登場することもあります。

1日に約3,500食を作る奄美市給食センターでは、大量の食材が必要になります。

数の確保が難しいため、県外産の食材も使用していますが、地場産の食材を使った献立も積極的に取り入れています。

献立作りは2、3ヶ月前から始め、食材の手配をするそうです。早い時期から準備が始まるのだなと驚きました!

 

④苦手な食材も工夫で美味しく!季節の特別メニューも。子どもたちの食の幅を広げること。

もちろん栄養だけではなく、美味しく楽しく食べることも給食の大切な要素です。

子どもたちが苦手な食材は、食べやすいように工夫して提供しています。

例えば、タンパク質が豊富な豆類は、そのままだと箸が進みにくいようですが、カレーにいれたり、子どもたちが好きなケチャップを使ったポークビーンズにしています。

鉄分豊富な鶏レバーや砂肝は、子どもたちが好きなポテトと合わせ、しっかりした味付けにし食べやすくしています。

バレンタインなどのイベントの日には、手作りデザートがつくこともあり、給食センターの皆さんの子どもたちに喜んでほしいという愛情が感じられます。


写真:奄美産たんかんの果汁や皮をふんだんに使用した「たんかん丸ケーキ」

ただ、子どもたちに人気のあるメニューだけを取り入れるのではなく、さまざまなメニューを献立に取り入れているとのこと。

小原先生「煮物や魚は家庭で食べる機会が減ってきているため、食べ慣れない子どもたちが残してしまうこともあるようです。だからといって、それらのメニューを外すのではなく、さまざまな食に触れてもらうことも、私達の仕事において大切なことだ考えています。」

栄養教諭の先生方の想い

栄養教諭の先生は定期的に学校へ出向き、「食に関する授業」を行っています。子どもたちと関わりながら、また担任の先生方からも意見をもらいながら給食の献立を作っていることも分かりました。

「給食を通して、児童生徒と関われることが喜びです!」と語ってくれた先生方の想いの詰まった給食献立。

最近は家庭で真似できるレシピや、食にまつわる豆知識なども月の献立と一緒に掲載されています。(こちらもLINE配信されています。)

みなさんも是非登録してみてくださいね!

【給食の味を家庭で実践】子どもたちが苦手なレバーを使ったおかずを、給食の味付けを参考に作ってみました!

スタミナたっちゃん

◆味付け
・ケチャップ 大さじ4〜5杯
・味噌 大さじ1杯
・島ざらめ 大さじ2杯
・おろしにんにく お好みで
・水 大さじ1程度

上記を耐熱容器に入れて混ぜたあと、島ざらめがとけるようレンジで30秒程度加熱し、竜田揚げにしたレバーと、じゃがいもに合わせました。

ケチャップが入ることで、子どもにも食べやすい味付けになりました!不足しがちな鉄分、家庭でも積極的にとっていきたいですね。

 

【基本情報】
教育委員会学校給食センター
住所:奄美市名瀬朝戸1003番地1(MAP
電話番号:0997-55-7222

【奄美市公式LINE・給食献立受信設定方法】
■登録方法についてはこちら
https://www.city.amami.lg.jp/dx/documents/line_setting_kyusyoku.pdf
■奄美市公式LINE登録用URLはこちら
https://liff.line.me/1645278921-kWRPP32q/?accountId=amami_city

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ムラタ マチヨ

福岡県出身、二児の母です。13年間東京で暮らし、2018年春に夫のふるさとである奄美大島に移住してきました。元々は都会が好きで、移住には不安も感じていましたが、奄美の人や文化に触れ今ではすっかり島の魅力に取り憑かれています。奄美で子育てを楽しむためのいろんな情報を発信していきたいです~!!

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